夏場は食中毒が多発する時期でもあることから、毎年8月1日~31日までの1ヶ月間は『食品衛生月間』として日本全国で一斉に食品衛生の普及や啓発の行事が行われます。
そこで今回は、政府も定めている“食中毒(衛生管理)の3原則”を、飲食店での具体的な方法とあわせてお伝えします。
食中毒の原因菌やウイルスを付着させない、ということです。
まず第一に大切なのは「手洗い」
手についた雑菌が食材や調理器具に付着しないよう作業前の念入りな手洗い、作業ごとのこまめな手洗いが必要です。各シンクに手洗い洗剤を置いたり、アルコールの設置場所を工夫することで、作業の流れで手洗い・アルコールを自然と導入できるようになります。
つぎに調理器具、とくに生食材に触れるまな板・包丁の「殺菌」
常に清潔な状態にすることが大切です。前夜、洗浄したまな板を厨房の作業台の上に出しっぱなしで帰り、翌朝そのまま使用していませんか?洗浄していたとはいえ、厨房内にそのまま放置されていたまな板には菌が付いている恐れがあります。保管場所の徹底や、使用直前の洗浄・殺菌をするようにしましょう。
3つめは、食材や調理器具の「分別」
焼肉で焼く前のトングと食べる箸は分ける、は聞いたことありますよね?異なる食材や状態の違う食材(生と加熱後など)を扱う調理器具は分別しなければいけません。また異なる食材同士を一緒に保存することもよくありません。食材から食材への菌移りを防ぎ、ウイルス拡大を防ぎましょう。
高温多湿な環境など細菌が好む状況をつくらず、菌の増殖を防ぐことが必要です。一般的に10℃以下でゆるやかな増殖に、マイナス15℃以下で増殖がとまるとされています。
飲食店の厨房内や食材保存場所の温度管理も徹底しましょう。設定温度もそうですが、食材のつめこみすぎによる実際の温度変化にも注意が必要です。
また気温の高いこの時期は、納入された食品はすぐに適切な保管場所(冷蔵・冷凍など)へ移動させましょう。
食材や調理器具についてしまった菌を死滅させることが必要です。
基本はよく加熱することで、食材の中心部分を75℃で1分以上の加熱が目安です。ただし中途半端な加熱は、逆に菌を繁殖させる恐れもありますので注意してください。
また調理器具は通常の洗浄に加え、消毒・殺菌用の薬剤を追加したり、熱湯をかけて殺菌する工程を追加してください。
外部から菌を持ち込まない・持ち込ませないという考え方です。
飲食店においては、
・スタッフの健康管理
・厨房と厨房外のものを分ける
がポイントとなります。
スタッフの健康状態を把握することで、体調の悪い(ウイルスを持っている恐れがある)スタッフは食品に関わらせないことで食中毒を予防します。
また厨房外から菌の付着したものを持ち込ませない工夫も必要です。例えば、
スタッフの私服や私物を厨房奥の棚に置いていませんか?
トイレ内でエプロンを外していませんか?
日常当たり前に行われているなかにも、食品衛生においては良くない行動もあります。3原則+αの考えをもとに、ご自身の飲食店で食中毒発生を予防できるよう店舗内を見直してみてください。