「食品ロス」という言葉をご存知ですか?
「食品ロス」とは、売れ残り・期限切れ・食べ残しなど、本来食べられたはず・まだ食べられるのに捨てられている食品のことです。食品そのものを無駄にしているだけでなく、その食品が作られる過程で利用した水やエネルギーの無駄など環境問題にも影響するため、世界中で食品ロス削減への取り組みが行われています。
食べ物を取り扱う飲食店にとって、無視できない課題ですね。
環境問題・社会貢献などもありますが、そもそも飲食店にとっての食品ロスは、食材費や廃棄費用など本来は不必要な経費発生により、お店の利益を圧迫しています。
そこで、まずあなたのお店でできる食品ロス削減の方法を考えてみませんか?
日本国内から出される食品廃棄物は年間約1,800万トン。そのうち、食品ロス(可食部分)による廃棄は500~800万トンあります。
さらに、飲食店などの外食産業を含む事業系から出される食品廃棄だけに絞ってみると、食品ロスの割合は増え、年間300~400万トンもあるそうです。 <食品廃棄物等の利用状況等(平成23年度推計):農林水産省より>
これは平成26年に世界中で飢餓に苦しむ人々へ向けた食糧支援量320万トンに匹敵する数字です。 <WFP 国連世界食糧計画 発表より>
では、飲食店における食品ロスを減らすにはどのような方法があるのでしょうか。店舗が取り組める方法をご紹介します。
「食材の廃棄が多いな」という感覚はあっても、実際の量や傾向は把握できていますか?まずは毎日の廃棄量を数値化することが必要です。数値化することで廃棄の傾向やそれにかかっている経費がわかり、廃棄量削減のための具体的な対策が考えられるようになります。廃棄にかかる費用は「雑費」などでまとめられることも多く、廃棄コストだけを抜き出してみると、その金額に驚いたというのはよく聞くお話です。
・冷凍食材の活用で輸送中の劣化品仕入れを避ける
輸送中のキズや劣化を見越して多めに仕入れる必要がなくなります。冷凍野菜・冷凍果物など冷凍技術の進化により、食材の品質ダウンは減ってきています。一部取り入れられるところから活用してみてはいかがでしょうか。
・規格外の食材を取り入れる
規格外を理由に廃棄される野菜や食材があります。規格外とはいえ、形が悪い・規定量より大きいまたは小さいなどが理由で、味や品質は規格品と何ら変わらないものもあります。そうした食材を仕入れることで食品ロス削減の取り組みにもなりますし、規格外品は通常より3割ほど安く仕入れられることもあり飲食店経営にとっても嬉しい効果があります。
また基準体重を超えてしまい販売できない動物の肉類の仕入れも検討されてはいかがでしょうか。販売できないと動物は殺処分される場合もあり、そうした面でも貢献ができますね。
・期限切れ食材の廃棄をなくす
本来は調理して食べてもらえたはずの食材を、期限切れなどで調理前に廃棄しないといけない“もったいない”状況はなくさなければいけません。
例えば、食材を保存する冷蔵庫や食材庫内を整える方法で解決できます。食材ごとに保存する数を決める、食材の種類・期限ごとに置く場所をつくる、食材と一緒に期限を大きく書く。単純なことですが、こうした工夫で「期限内に使う」「古い食材から順に使う」を徹底し、もったいない食品ロスを防ぐことができます。
・食べ残した料理を持ち帰れるようにする
お客様が食べきれなかった料理を持ち帰れるようドギーバッグなどを準備しておく方法です。食中毒など衛生上の問題が懸念されますが、アメリカではお客様の自己責任において持ち帰るのが一般認識となっているそうです。
慎重な検討・準備は必要ですが、持ち帰れる料理を限定したり、お客様が自由に持ち帰るよりも店舗側が安全に持ち帰れるよう準備するなど、この制度を取り入れる方法はあるのではないでしょうか。
・食べ残しのない注文を促す
食べ残った料理の持ち帰りにリスクがあるのなら、そもそも食べ残しがないような料理提供ができれば良いですよね。例えば、「小盛など通常より少ない量の提供ができることを知らせる」「事前に食べられない(嫌いな)食材を確認してから調理する」方法をとれば、お客様が食べ残される量が減ります。