世界の禁煙化の流れと比較しても日本は禁煙に関してまだまだ後進国と言われています。健康増進法の改正や東京オリンピックに向けて禁煙化が進められているとはいえ、実際には禁煙化の流れに困惑する飲食店も少なくありません。では、飲食店を禁煙化することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
・新しい客層を獲得できる
今まで喫煙可能なお店を避けていたファミリー層や小さな子供を連れたママさん層など、受動喫煙に敏感なお客様の来店を見込めます。また2020年の東京オリンピックや2025年の大阪万博に向けて、さらに海外からの旅行客が増えると言われているため、インバウンドを取り込むにも店内の禁煙化が効果的だと考えられます。
*インバウンド・・・外国人が訪れてくる旅行のこと
・回転率が上がり売上アップに貢献
食後にタバコ1本を吸うという行為がないため、喫煙者に比べて禁煙者のほうが店舗に滞在する時間が短くなります。お客様の滞在時間の変化は回転率に直結し、売上にも影響を与えます。
・店内飲食環境の改善(ニオイがなくなり綺麗)
例えば分煙をおこなっている飲食店でも、喫煙席や喫煙スペースから煙やニオイが禁煙席まで流れてきた経験はありませんか?どれだけ美味しい料理を提供していても、タバコを吸わないお客様にとってそのニオイは大きなマイナス評価になってしまう可能性があります。
また禁煙化することで受動喫煙やニオイの心配もなくなると、飲食環境の改善に繋がります。
・クリーニングの時間と経費削減(吸い殻などのゴミ処理、灰皿や壁紙の掃除が不要)
喫煙席にはもちろん灰皿が置いています。席の利用ごとに灰皿を交換し、吸い殻の掃除をします。さらに煙で変色した壁紙の掃除も必要になります。全面禁煙にすることでその労力や経費をなくすことができます。
吸い殻の掃除など大した手間ではないと思うかもしれませんが、実際はそれだけでも大きな改善になりますよ。食器と一緒に食洗器で洗えない灰皿は、ひとつひとつ手洗いが必要です。例えば喫煙席が10席ある飲食店で、交換分とあわせて20個の灰皿が用意されていたとします。それを営業中・閉店後ひとつひとつ手洗いする手間を考えると・・・大きな業務改善ですね。その時間に新しいメニューを考えたり、チラシやポップを作れるかもしれません。
・全面禁煙にした飲食店はアルバイトの応募も増える
特に学生など若年層に多いのですが、最近は喫煙可能な店舗でのアルバイトを避ける傾向もあるようです。要因は、親世代に禁煙者の家庭が増えたことです。
なお、2020年4月に施行される健康増進法には喫煙スペースへの未成年の入室を禁止するとありますので、働いていても喫煙スペースへ料理の提供や清掃はできません。
常連客からの要望や、売上減少を心配して全面禁煙席にするのはちょっと・・・という店舗もあるでしょう。
全面禁煙せずにあえて分煙する、という選択肢もあります。喫煙室と禁煙席を完全に分けることでタバコを吸わないお客様にも配慮された店舗になると同時に、禁煙化が進む飲食店のなかで喫煙者への配慮もされた店舗となり、他店との差別化にもつながります。
ただし、健康増進法の改正により喫煙スペースのつくり方・未成年スタッフの喫煙室の入室禁止などさまざまな制限があります。取り組む際は注意してください。