「できることなら経費は削減したい」「経費を抑えて利益をあげたい」
飲食店の経営においてその経営者目線は大切ですが、あまりに経費削減だけを考えすぎていませんか?
いつの間にか店舗運営にひずみをもたらしていませんか?
今回はさまざまな飲食店での経費削減に関する失敗事例をもとに、経費削減を考えるときに大切なことをお話します。
飲食店経営者にとっては当たり前の考え方―
頭ではわかっているはずなのに、出来ていないこと・気付けていないことがあるかもしれません。この機会に改めてみませんか。
人件費を削減しよう、光熱費を削減しようなど、ひとつの要素だけで見直してしまうのは危険です。
一部分の経費を減らすことができたとしても、それは一時のこと。あとあと店舗運営にひずみをもたらし、結果売上ダウンに結びついてしまう可能性もあるのです。
キッチンスタッフの人数を減らして人件費を削減できた
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それまで分担して調理していたキッチンスタッフ一人当たりの作業負担が大きくなり、料理提供スピードが落ちてしまった
手洗い後に拭くタオルを毎回使い捨てのペーパーから、洗って繰り返し使えるタオルに変更。備品・消耗品費を削減できた
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複数の人が1枚の同じタオルを使ったことでスタッフ間にウィルス(菌)が蔓延。不衛生な環境になり、お店で食中毒を出してしまった
従業員の給与を下げて人件費を削減できた
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従業員のモチベーションが下がり、作業スピードやお客様へのサービス品質が落ちてしまった。
また従業員がお店を辞めていき、店舗運営が回らなくなってしまった。
経費削減を考えるときには、「○○を削減したとき、△△に影響はないかな?□□は大丈夫かな?」とあらゆる要素(側面)から問題がないかを考え、見直すことが大切です。
経営者目線だけで経費削減を考えてしまうのは危険です。
料理やサービス・店舗運営にかける経費を抑えた反面、それまでお店を気に入ってくれていたお客様の満足度を下げてしまう可能性があります。
食材の調達先を変えて仕入れ費用を削減できた
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食材の変更で料理の味が落ちたことに気付かず、いつの間にかお客様のリピートが減ってしまっていた
新規来店客を呼ぶのに最も効果があったクーポンブックへの出稿に絞り、チラシ・ホームページ・SNSなど他の広告を止めたことで、販売促進費を削減できた
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変わらず新規来店客を呼び込むことはできたが、クーポンを出した時にしか来店してもらえずリピーターが増えなくなってしまった。また、とにかく安く食事したい考えのお客様が増えて客単価が下がってしまった
店内の電気をLEDに取り換え、月々の電気代を削減(節電)できた
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それまでは暖かくやわらかい灯りで落ち着いた雰囲気の店内だったが、新しいLEDは明るすぎる灯りで落ち着かず、ゆっくり過ごしづらくなってしまった。結果お客様の滞在時間が短くなり、追加注文されることも減ってしまった
経営者として経費削減で利益をあげることは大切ですが、お客様が来店して食事を楽しんでいただけるからこそ対価を支払っていただき売上があがります。実施する前にお客様の立場になって満足できる飲食店かどうかを考えることが大切です。
また事前に気付けなかったとしても、経費削減を始めてから当分はお客様の数・リピート・滞在時間などに変化がないかを数値化し、確認しておくようにしましょう。